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連載:中村先生の眼瞼下垂講座③眼瞼下垂を自力で治す方法とは?テープの貼り方と効果・注意点を解説!

第1章. 眼瞼下垂はテープやセルフケアで治る?

「最近、まぶたが重くて目が開きにくい」「夕方になると視界が狭くなる」…。こうした悩みを抱えたとき、まず思いつくのが「自力で治す方法」ではないでしょうか。しかし、結論からお伝えすると、眼瞼下垂をテープやマッサージだけで根本から完治させることは、医学的に見て非常に困難です。

まずは、その理由とテープの正しい役割について整理していきましょう。

1-1. テープは「治療」ではなく「一時的な症状緩和」

眼瞼下垂の主な原因は、まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)や、その力を伝える挙筋腱膜(きょきんけんまく)が緩んだり、剥がれたりすることにあります。これは言わば、伸び切ってしまったゴムのような状態です。

市販のテープやアイプチなどでまぶたを固定しても、それは下がったまぶたを物理的に外側から持ち上げているだけの応急処置に過ぎません。テープを剥がせば、まぶたは元の位置に戻ってしまいます。

【失敗事例】自力で二重を作ろうと頑張ったAさんのケース

「病院に行くのが怖くて、毎日10分間の念入りなマッサージと、強力な粘着テープでまぶたを固定し続けました。しかし3ヶ月後、まぶたの皮膚は赤く腫れ、以前よりも皮膚が伸びてしまい、結局さらに目が開きにくくなって受診することに。皮膚の状態が悪くしばらくステロイドで皮膚のケアをした後、やっと施術をするスタートラインに立てました。」

このように、過度なセルフケアは、必要な治療の難易度を上げてしまうリスクがあることを知っておく必要があります。

1-2. テープで改善ができる症状

根本治療にはなりませんが、適切にテープを使用することで、眼瞼下垂に伴う「つらい副次症状」を一時的に和らげることは可能です。まぶたが物理的に持ち上がると、以下のようなメリットが得られます。

  • 頭痛・肩こりの軽減: まぶたを開けようとして額の筋肉(前頭筋)を過度に使わなくて済むため。
  • おでこのシワ予防: 眉毛を吊り上げる癖が抑えられ、表情ジワの定着を防ぎます。
  • 眼精疲労の緩和: 視界が広がり、物を見る際にかかるストレスが減少します。

実際、筆者がテープ使用前後での「視野」と「額の筋肉の緊張度」を自身で検証したところ「テープ貼付時は、おでこに力を入れなくても通常時以上に視野が広がる」ということがわかりました。患者さんの中には、自宅で人に見られない時などは常にテープを貼っていたという方もおられ、一時的に疲れをリセットしたい時などには確かに有効な手段となるようです。

第2章. 眼瞼下垂対策テープの選び方とおすすめの種類

いざテープを使おうと思ったとき、多くの人が100円ショップの二重テープやのり(アイプチ)を手に取ります。しかし、眼瞼下垂対策として日常的に使うのであれば、肌への優しさと固定力のバランスが何より重要です。

2-1. 医療用サージカルテープ

眼瞼下垂の症状を抑えるために最も推奨されるのは、100均の美容用品ではなく、3M社製などの低刺激な医療用サージカルテープです。

なぜ美容用より医療用が良いのか、編集部で5種類のテープを実際に購入し、「目立ちにくさ」「剥がれにくさ」「剥がした後の赤み」を5段階評価で比較しました。

テープの種類 目立ちにくさ 剥がれにくさ 肌への優しさ 総合評価
医療用サージカル(肌色) ★★★ ★★★★★ ★★★★★ 4.5
二重整形用テープ(埋没式) ★★★★★ ★★★ ★★ 3.0
100均二重のり(リキッド) ★★★★ ★★ 2.0

医療用テープは粘着剤が整理・工夫されており、長時間貼ってもかぶれにくく、剥がす際の皮膚へのダメージが最小限に抑えられます。肌に優しいのは間違いないですが市販の二重テープのように一個ずつ使い切りサイズにはなっていないため、都度自分で形を調整しなければいけないのは面倒な点です。これらの商品はお気に入りのショップや近所のドラッグストアで見つからない場合は、Amazon等のオンラインショップでも手軽に注文可能です。

2-2. 100均やドラッグストアで買える二重テープ・のりのリスク

安価で手に入りやすい二重のりやテープですが、これらを眼瞼下垂を隠すために使い続けると、皮膚弛緩(ひふしかん)やかぶれといった症状が出る恐れがあります。

まぶたは体の中で最も皮膚が薄い部位の一つです。強力な粘着剤で毎日皮膚を引っ張り続けると、まぶたのラインが崩れるだけでなく、皮膚が伸びて厚くなり、将来的に手術を検討した際に、理想的な二重ラインを作ることが難しくなる注文がつくこともあります。

実際に、長年アイプチを使用した結果、炎症を繰り返してまぶたが硬くなり、「皮膚トラブルの治療をまずする必要があり、初診後すぐに手術予定が組めなかった」というカウンセリング事例も少なくありません。安易な自己判断での長期使用は、対象外の副作用を招く可能性があるため注意が必要です。

第3章. 症状を即抑えるテープの貼り方

「どうしても今日だけはシャキッとした目元でいたい」という時のために、皮膚への負担を抑えつつ、最大限の視界を確保する貼り方を解説します。

3-1. 正しい位置と角度:まぶたを吊り上げる3つの手順

重要なのは、無理に二重を作るのではなく「眉毛とまぶたの距離を物理的にサポートする」イメージです。

  1. 皮脂の拭き取り: テープを貼る前に、コットンでまぶたの油分を優しく拭き取ります。これを怠ると、発送後の荷物が崩れるように、日中すぐに剥がれてしまいます。
  2. 起点の決定: 黒目の上あたり、まつ毛の生え際から5〜8mmほど上の位置にテープの端を固定します。
  3. 斜め上への引き上げ: 眉毛の筋肉(前頭筋)の動きを補助するように、少しだけ斜め上(こめかみ方向)に向かってテープを軽く引き上げながら、眉下の骨あたりで固定します。

【微調整のコツ】

二重が最も折れ曲がりやすい位置が多くの場合一番たるみがたくし上げられてまぶたが開きやすい二重の幅です。鏡を見て、軽く瞬きをした時に抵抗がなく、かつ「おでこの力が抜けている」と感じる位置があなたにとっての黄金比です。

3-2. 外出時でも目立たない「隠し貼り」のテクニック

「テープを貼っているのがバレたくない」という方は、以下の工夫を試してみてください。

  • ハーフカット法: 医療用テープを細く(幅2〜3mm程度)、かつ端を細くなるようにカットして使用します。面積を最小限にすることで、光の反射を抑えられます。
  • メイクの順番: テープを貼った上から、粒子の細かいパウダーアイシャドウを乗せると、テープの質感が肌に馴染みます。
  • 前髪の活用: 分け目を調整し、テープを貼っている側の目元に前髪がかかるようにスタイリングします。

筆者が実際にテープを貼った状態で、1メートル離れた場所から他人に確認してもらったところ、「言われないと全く気づかない」という評価を得ました。正しい角度と隠し方さえマスターすれば、外出時も過度に周囲の視線を気にする必要はありません。

第4章. テープ使用やマッサージの危険

「自力でなんとかしたい」という熱心な方ほど、良かれと思って行っている習慣が、実は眼瞼下垂を悪化させていることがあります。ここでは、解剖学的な観点から注意すべきポイントを整理します。

4-1. まぶたをこするマッサージが「腱膜性下垂」を招く

「まぶたのむくみを取れば目が開くはず」と、目周りを強くマッサージしていませんか? 実は、この習慣が最も危険です。

まぶたを持ち上げる挙筋腱膜は、非常に薄い膜のような組織です。まぶたを強くこすったり、揉んだりする刺激は、この腱膜を瞼板から引き剥がしてしまう原因になります。これを腱膜性下垂と呼び、一度外れてしまった腱膜はマッサージで元に戻ることはありません。

【ワンポイントアドバイス💡】

「まぶたの血行を良くしたいのであれば、指で直接刺激するマッサージよりも、ホットアイマスクなどで40度前後の熱を加える方が安全です。目周りの筋肉の緊張がほぐれ、一時的に開瞼がスムーズになります。」

4-2. テープによる皮膚炎・かぶれ・ドライアイの防ぎ方

テープを長時間、あるいは就寝中も貼り続けると、以下のようなトラブルが発生しやすくなります。

  • 皮膚のかぶれ: 粘着剤による化学的な刺激や、剥がす際の物理的なダメージ。
  • ドライアイ: テープで引き上げすぎて瞬きが不完全になり、涙が蒸発しやすくなる。

万が一かぶれてしまった場合は、最低でも3日間〜1週間はテープの使用を完全に休止し、ワセリンなどで保護してください。赤みや痒みが引かない場合は、手遅れになる前に皮膚科や形成外科を受診しましょう。また、夜間は目を休ませるため、必ずテープを剥がして寝るのが鉄則です。

第5章. 眼瞼下垂の治療とは?手術の種類と保険適用の見分け方

セルフケアには限界があるため、根本的な解決には医療機関での治療が必要になります。ここでは「保険が効くのか?」「どんな手術があるのか?」という疑問を解消します。

5-1. 保険適用と自由診療(美容目的)の明確な境界線

眼瞼下垂の手術には、健康保険が適用されるケースと、全額自己負担となる自由診療があります。

項目 保険適用(3割負担等) 自由診療(美容整形)
主な目的 視機能の回復(視野障害の解消) 見た目の美しさ、二重の幅の調整
診断基準 上方視界の制限、重度の肩こり・頭痛 見た目の左右差、よりパッチリさせたい等
価格相場 両目:約5〜6万円以内 両目:約30〜60万円以上

病院選びは、ぜひ症例写真やカウンセリングの丁寧さを重視して行ってください。時に効率主義でデザインを一切希望させてくれないクリニックや経験不足のドクターが行っているクリニックがあります。

5-2. 主な手術方法(挙筋前転術・埋没法・皮膚切除)の比較

症状の重さや原因によって、最適な術式が異なります。

  1. 挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ): 緩んだ腱膜を瞼板に固定し直す、最も一般的な根本治療です。
  2. 埋没法(まいぼつほう): 軽度の下垂に対し、糸で留めるだけの負担が少ない方法。
  3. 皮膚切除;二重切開(ふたえせっかい): 筋肉の力はあるが、皮膚のたるみが原因で視界が遮られている場合に有効。

注文してから発送を待つ期間のように、手術にも「ダウンタイム」という待ち時間があります。術後1週間は腫れが目立ちますが、1ヶ月で自然になり、3ヶ月も経てば心理的にも「手術して良かった」と実感できるほど馴染むのが一般的です。

第6章. 眼瞼下垂を自力で治すにはまずは予防習慣から

「これ以上進行させない」ための予防こそが、最大のセルフケアです。

6-1. コンタクトレンズの着脱とPC・スマホの見過ぎに注意

特にハードコンタクトレンズの長期使用(20年以上など)は、レンズがまぶたの内側を刺激し、腱膜性下垂を誘発する大きな要因です。また、PCやスマホの画面を凝視すると瞬きが減り、目周りの筋肉が凝り固まります。

【院長母の体験談】

「スマホのフォントサイズを大きくしただけで、画面を覗き込む際の眉間のしわと、おでこの力みが驚くほど抜けます。小さな工夫で、夕方のまぶたの重さが軽減されるのを実感しています。」

6-2. 軽度のうちに検討したい「目元のトレーニング」の正解

おでこの筋肉を使わず、まぶたの筋肉(眼輪筋)だけを動かすトレーニングは、軽度の予防に効果的です。

  • 手順: 眉毛を指で軽く押さえ、おでこが動かないように固定した状態で、ゆっくりと目を開閉します。
  • 回数: 1日10回×3セット。

筆者がこれを1ヶ月継続したところ、夕方に感じていた「まぶたの重み」による倦怠感が一部軽減された感覚がありました。ただし、すでに重度の下垂がある場合は逆効果になることもあるため、無理は禁物です。

第7章. 眼瞼下垂の不安を解消しよう

最後に、自分の今の状態を把握し、次の一歩を踏み出すための準備をしましょう。

7-1. 「これって眼瞼下垂?」1分でできるセルフチェック

7-1. 「これって眼瞼下垂?」1分でできるセルフチェック

鏡の前で以下の手順を試してみてください。

  1. 目を閉じる。
  2. 人差し指で左右の眉毛をしっかりと押さえる(眉が動かないようにする)。
  3. そのまま、ゆっくり目を開ける。

このとき、「目が十分に開かない」「おでこに力が入ってしまう」という場合は、眼瞼下垂の可能性が高いと言えます。また、家族に正面・横顔・見開き時の写真を撮ってもらい、以前の自分と比較してみるのも客観的な判断材料になります。

7-2. 病院に行くべきタイミングと診療科(眼科vs形成外科)

「生活に支障がある(運転が怖い、本が読みにくい)」と感じたら、それが受診のタイミングです。

  • 眼科: 目そのものに異常がないか、視能検査を含めて診てもらいたい場合。
  • 形成外科: まぶたの機能回復に加え、二重の具合、見栄え、手術後の傷跡の綺麗さを重視したい場合。

受診前に、「いつから症状があるか」「過去のコンタクト歴」「1日で最も辛い時間帯」などを整理してメモしておくと、診察がスムーズに進みます。年末年始や大型連休など、クリニックの休業予定も事前に確認しておきましょう。

眼瞼下垂は加齢だけでなく、日々の習慣や間違ったセルフケアによっても進行します。テープはあくまで「今を乗り切るための道具」として賢く利用し、根本的な悩みは専門医に相談することが、健やかな視界を取り戻す最短ルートです。