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連載:中村先生の眼瞼下垂講座⑥眼瞼下垂手術後の腫れが引かない原因は?早く治す方法と対処法を解説!

「眼瞼下垂の手術を受けたけれど、思ったより腫れがひかない…」「このままの顔だったらどうしよう」と不安に感じていませんか?

眼瞼下垂の手術は、まぶたの機能を改善する治療ですが、皮膚を切開し、内部の筋肉(挙筋腱膜など)を処置するため、どうしてもダウンタイムが伴います。特に術後数日は、鏡を見るたびに「失敗したかも」と落ち込んでしまう方も少なくありません。

しかし、術後の腫れは身体が治ろうとしている証拠であり、正しい知識を持って過ごせば必ず落ち着いていきます。

この記事では、眼瞼下垂手術後の腫れが引かない原因や、ダウンタイムを最短にするための過ごし方について、専門的な知見と具体的なデータを交えて徹底解説します。

第1章 眼瞼下垂手術後の腫れが引かないのはなぜ?

手術から数日が経過しても腫れが引かないと、何か異常が起きているのではないかと心配になりますよね。まずは、なぜ腫れが起こるのか、そのメカニズムを正しく理解しましょう。

1-1. 術後の炎症反応と組織の修復

手術後のまぶたの腫れは、医学的には「炎症反応」と呼ばれる正常なプロセスです。

眼瞼下垂の手術(特に切開法)では、皮膚を切り、まぶたを持ち上げる筋肉(挙筋腱膜)とその延長部位である挙筋腱膜を糸で固定するなどの処置を行います。この際、周囲の毛細血管やリンパ管が一時的に損傷を受けます。

すると、体は損傷した組織を修復しようとして、血管を拡張させ、白血球や栄養を運ぶ浸出液(しんしゅつえき)を送り込みます。これが「腫れ」の正体です。

【専門医コメント】

「患者さんから『腫れ=失敗』ではないかと相談を受けることがありますが、実際にはその逆です。腫れは組織が懸命に修復しようとしている『治癒の過程』そのもの。医学的根拠に基づけば、侵襲(ダメージ)を受けた組織が術後すぐに元の厚みに戻ることはありません。適切なプロセスを経て回復しているサインだと捉えて、安心してください」

1-2. 個人差や体質による影響(皮膚の厚み、肌質)

同じ術式を受けても、翌日に少しむくむ程度の人もいれば、1週間ほど目が開かないほど腫れる人もいます。これには「個人差」が大きく関係しています。

  • まぶたの厚み: 皮下脂肪が多い方や、皮膚が厚い方は、浸出液が溜まりやすく腫れが目立ちやすい傾向にあります。
  • 血管の脆さ: 毛細血管が細く脆い体質の方は、内出血が広がりやすく、それに伴って腫れも強く出ます。

第2章 眼瞼下垂の腫れはいつまで待つべき?腫れ・内出血の経過

「いつまでこの顔でいなきゃいけないの?」というゴールが見えない不安を解消するために、標準的な経過スケジュールを確認しましょう。

2-1. 手術当日〜抜糸(術後5〜7日)までのピーク期

手術直後から2〜3日目が、腫れと内出血の最大のピークです。

この時期は、まぶたがパンパンに張り、人によっては「目が開けにくい」「左右で腫れ方が違う」といった症状が出ます。切開部位から少量の血が混じった液が出ることもありますが、多くは数日で治まります。

【チェックポイント】

  • 左右差: 麻酔の効き具合や、利き手側の処置時間などの影響で、左右で腫れ方に差が出ることが時々あります。多くの場合、腫れが引くとともに左右差は落ち着いていきます。
  • 内出血: 紫色から次第に黄色っぽく変化してきます。これは血液が分解・吸収されている過程です。黄色味の変化にはKOライトを利用するのも一つの方法です。

2-2. 術後1ヶ月〜3ヶ月の完成までの変化

抜糸が終わると、大きな腫れ(浮腫)は急速に引いていきます。しかし、ここで注意が必要なのが、その後に続く微細な腫れと拘縮(こうしゅく)です。

術後1ヶ月頃は、傷跡が一時的に硬くなったり、赤みが強くなったりする時期です。これを失敗だと勘違いする方も多いのですが、組織が安定するまでの通過点です。

【体験談:30代女性】

「術後2週間経っても二重幅が広すぎて、外に出るのが怖かったです。でも3週間目に入った頃、朝起きたら急に『あれ?昨日よりスッキリしてる!』と実感。そこからは毎日少しずつ自然になっていき、1ヶ月検診では先生に『順調ですね』と言われ、ホッとしました。焦らなくて本当に良かったです」

第3章 眼瞼下垂の腫れを長引かせる?NG習慣と注意すること

第3章 眼瞼下垂の腫れを長引かせる?NG習慣と注意すること

せっかく名医に手術をしてもらっても、術後の過ごし方を間違えるとダウンタイムが数週間単位で延びてしまいます。ここでは、やってしまいがちなNG習慣を解説します。

3-1. 血流を促進させすぎる「日常生活の盲点」

体に良いことが、術後のまぶたにとっては悪になることがあります。キーワードは血流の抑制です。

  • 入浴(湯船に浸かる): 体温が上がると血圧が良くなり、術後出血を助長する懸念があります。術後数日は熱すぎないシャワーのみにしましょう。
  • 飲酒: アルコールは血管を拡張させ、むくみを悪化させます。また、眠りが浅くなることで修復も遅れます。なにより飲酒により気が大きくなることで術後安静の意識が乏しくなる懸念があります。
  • 激しい運動: 心拍数・血圧が上がるような運動は、内出血のリスクを高めます。

【失敗エピソード】

術後3日目に「もう痛みもないし大丈夫だろう」と、朝まで続く飲み会を行ったAさん。翌朝、せっかく引き始めていた腫れが再発し、まぶたがパンパンになってしまいました。

3-2. 感染症や内出血、ドライアイなどの合併症リスク

単なる「腫れ」だと思って放置してはいけないケースもあります。以下の症状がある場合は、通常のダウンタイムではなく、合併症の可能性があります。

【専門家監修:異常を見極めるチェックリスト】

  1. 熱感: 身体他の部位より明確に熱感がある。
  2. 痛みの増強: 術後3日を過ぎても痛みが弱まらず、むしろ強くなっている。
  3. 拍動痛: 傷口がズキズキと心臓の鼓動に合わせて痛む。
  4. 浸出液の変化: 透明や薄い血ではなく、黄色っぽく濁った膿が出ている。

これらは細菌感染や、内部で血の塊ができる「血腫」のサインである可能性があります。少しでもおかしいと感じたら、すぐに執刀したクリニックに連絡しましょう。

第4章 眼瞼下垂の腫れを1日でも早く引かせるためのセルフケア方法

医学的な根拠に基づいたセルフケアを行うことで、ダウンタイムを最小限に抑え、回復を早めることが可能です。

4-1. 術後48時間のクーリング

手術直後の48時間は、腫れのピークを左右する最も重要な期間です。この時期に浮腫を最小限に抑えることで、傷の治りを促進させます。

  • 正しい冷やし方: 清潔なガーゼで包んだ保冷剤を、まぶたに優しく当てます。1回10〜15分程度、感覚がなくなる前に離し、これを数時間おきに繰り返します。
  • 冷やしすぎに注意: 氷を直接当てたり、長時間放置したりすると、凍傷の原因になります。「冷たすぎる」と感じない程度の温度がベストです。

【アイシングシート活用法】

保冷剤をずっと持っているのが大変な場合は、市販のアイシングシート(冷却ジェルシート)を半分に切り、眉の上に貼るのも一つの手です。まぶた自体を圧迫しすぎず、周辺の温度を下げることで効率よく炎症を抑えられます。※傷口には直接貼らないよう注意してください。

4-2. 頭を高くして眠る

意外と知られていないのが寝る時の姿勢です。水分は重力に従って低い場所に溜まるため、平らに寝ると翌朝のまぶたは非常にむくみやすくなります。

  • 理想の姿勢: 枕を2〜3個重ねるか、背中の下にクッションを入れて、上半身を30度ほど高くして休みましょう。
  • 寝過ぎない: 長時間の睡眠は顔のむくみを助長します。ダウンタイム中は適度な休息を心がけ、横になりすぎないことも大切です。

【実際の担当患者さんの経験談】

「手術後3日間はリクライニングチェアを少し倒して寝るようにしました。以前別の手術をした時よりも、翌朝の目がパッチリ開くのが早かった気がします!」(40代・女性)

4-3. 栄養管理と内服薬・外用薬の徹底

体の中から修復をサポートすることも忘れてはいけません。

  • 処方薬の服用: クリニックから処方される抗生剤は感染予防、腫れ止め(漢方の「治打撲一方(ちだぼくいっぽう)」など)は内出血の改善に役立ちます。自己判断で中断せず、飲みきりましょう。
  • 食事の注意点: 塩分の摂りすぎは水分を溜め込み、腫れを長引かせます。また、皮膚の再生を促すタンパク質やビタミン類を積極的に摂取しましょう。

【術後のむくみ軽減に効果的な栄養素リスト】

  • カリウム: 海藻、バナナ、アボカド(余分な水分を排出)
  • ビタミンB群: 豚肉、レバー、納豆(組織の代謝を促進)
  • 亜鉛: カキ、赤身肉(傷口の修復をサポート)

第5章 クリニックへ相談すべき「眼瞼下垂の異常な腫れ」

ほとんどの腫れは時間の経過とともに改善しますが、稀に早急な処置が必要なケースがあります。「これは普通?」と迷った時の基準を知っておきましょう。

5-1. 片目だけが異常に腫れている場合

左右差は誰にでも起こりますが、「明らかに片方だけが2倍以上腫れている」「片方だけ皮膚の色が黒ずんでいる」という場合は、内部で持続的な出血(血腫)が起きている可能性があります。

血腫を放置すると、皮膚の癒着が悪くなったり、感染の原因になったりするため、ドクターによる血抜き処置が必要になる場合があります。

【専門家コメント】

「強い痛みとともに、まぶたがパンパンに張って目が全く開かないような片側の腫れは、すぐに連絡してください。我慢して時間が経過すると、最終的な仕上がりに影響することもあります」

5-2. 1週間経過しても全く変化がない場合

通常、術後3日を過ぎれば少しずつ腫れは引いていきます。もし1週間経っても腫れがピーク時のまま、あるいは悪化している場合は、感染症の疑いがあります。

【ドクター回答集】

  • Q. 糸の周りが赤くぷっくりしています。
    • A. 抜糸前であれば糸による刺激の可能性が高いですが、膿が出ている場合は感染の疑いがあります。
  • Q. 目ヤニがひどくて目が開きません。
    • A. 術後数日は浸出液の影響で増えますが、色が濃い黄色や緑色なら眼科的・外科的な確認が必要です。

第6章 後悔しない眼瞼下垂手術のために知っておくべきクリニック選び

今まさに腫れに悩んでいる方も、これから手術を検討している方も、納得のいく結果を得るためには「手術の特性」と「アフターフォロー」への理解が欠かせません。

6-1. 術式(切開法vs埋没法)によるダウンタイムの違い

自分が受けた(受ける予定の)術式がどれくらい腫れるものなのか、再度確認しておきましょう。

項目 切開法(挙筋前転法など) 埋没法(切らない眼瞼下垂)
腫れの強さ ★★★★☆(強い) ★★☆☆☆(控えめ)
強い腫れの期間 2週間程度 3日程度
完全な完成 3〜6ヶ月 1ヶ月程度
持続性 半永久的(稀に取れる) 基本的にはいずれ取れる

切開法は筋肉の深い部分まで処置するため、腫れは強くなりますが、その分埋没法では得られないような変化と持続力が得られます。「腫れが強い=丁寧な処置をした結果」であることも多いのです。

6-2. アフターフォロー体制と保証制度の確認方法

腫れが引かない、あるいは引いた後の左右差が気になる際に、親身に対応してくれるクリニックを選びましょう。

  • 術後の緊急連絡先: 夜間や休日に何かあった際、相談できる窓口があるか。
  • 再手術規定: 腫れが完全に引いた(術後半年以降)後、明らかに仕上がりに問題がある場合の修正保証があるか。

【チェックリスト:カウンセリングで確認すべきこと】

□ 術後の腫れのピークは何日目くらいと想定されるか?

□ 万が一、血腫や感染が起きた時の対応は?

□ 抜糸後も定期的な検診(1ヶ月、3ヶ月など)があるか?

まとめ:腫れは必ず引く。「正しい知識」が最大の特効薬

眼瞼下垂手術後の腫れが引かない時間は、とても長く、不安に感じるものです。しかし、今回解説したように、腫れは組織が回復するための不可欠なステップです。

  1. 第1〜3日:適度に冷やし、頭を高くして休む。
  2. 〜1週間: 血流を上げる行為(入浴・飲酒・運動)を控える。
  3. 1ヶ月以降: 小さな変化を楽しみながら完成を待つ。

もし、今の腫れが「異常かもしれない」と感じるチェックリストに当てはまる場合は、迷わずクリニックへ連絡してください。